KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

ラグビー県大会初日の朝

今日が学祭の本番であり舞台で披露するダンスの準備も万端であるようだが、ジャージに袖通し学校とは正反対、姫路に向かわなければならない。

 

兵庫県中学生ラグビー秋季大会の初日と学祭が重なった。

楽しみにしていた学祭であったが残念ながら長男は踊っている場合ではなくなってしまった。

 

春の試合を終えた後、忙しい合間を縫って「走れる」カラダづくりに真剣に取り組んできた。

この半年で無駄な肉が削げ落ちた。

ごつさが目立ち前後にしか動けなかったような春先に比べ、いまは機敏に縦横走り続けることができるカラダになった。

 

自営業者に安息日など不要なので何の苦もなく日曜も仕事するのであるが、今日は例外。

家内と電車で姫路に向かう。

兵庫県は広い。

片道2時間近くかかるようだ。

 

姫路を訪れるのはこれが初めてとなる。

姫路城や播磨のケンカ祭り、日本きってのガラの悪さ、気性がきつい民の町ということで関心がないわけでもなかったが、数年前、食の祭典が開催されていた折りも足を伸ばすことがなかった。

県内東端から西端見れば、地の果てのように遠く腰が上がらない。

 

しかしこれが長男の試合となれば、2時間かかろうがなんでもない距離となる。

 

最もラグビーに注力したのは長男が小5のときだった。

芦屋ラグビーフォワードのレギュラーになってからは勉強などそっちのけ、週3回練習に通い、その他も練習に充てた。

 

習い始めた当初はラグビーを死ぬほど嫌がっていたけれど、一人のコーチが長男を見出し声をかけ熱心に指導してくれるようになってからは、これをこそ開眼というのだろう、執心するほどに没頭するようになった。

 

長男は、自分自身を変えてしまうほどにインパクトある出会いを、わずか10歳のときに経験してしまったことになる。

決して大げさな話ではなく、このような出会いに恵まれ続ける「引き」のいい人生が、ここで拓けた、と言えるだろう。

 

ラグビーを続ければラグビーにばかり長男の心は占められてしまう。

性格的に両立は無理と考え、受験勉強に専念させるため小6からはラグビーを休ませることにした。

親として強権を振るったのだった。

 

そのときコーチに言われた言葉を忘れない。

「勉強じゃなく、ラグビーが強い学校に入れてあげてください」

 

愚息にしか見えない自分の子をこのコーチが高く評価し本当に買ってくれていることが分かって、とても嬉しかった。

うちの息子も捨てたものではない、親としてこのように思えることは幸福なことである。

 

勉強については当時中途半端な取り組みであったが、幸か不幸か、ままできる素地があった。

親としてここを手付かずにする訳にはいかなかった。

鉄は熱いうちに打て、と判断し、ラグビーを封印したのであった。

 

好きなことをやれ、ラグビーにとことん打ち込めばいい、責任はおれがとる、そのための支援もし続ける、と私は決断できなかったということである。

 

無事中学に入り、そして趣味のような域で長男はラグビーに回帰した。

地元チームでの週末の練習だけではもの足らず、学校でラグビー部創設しようと署名募って行政機関に出すみたいに創部趣意書を作成し学校に申請したが叶わなかった。

 

せめて高校でもラグビーに関われるようにと地元だけでなく神戸のラグビークラブにも所属した。

継続すれば大学においても同好会レベルの弱小チームかもしれないが続けることができる。

 

続けることができれば、ラグビーを通じ仲間となったあの男衆ともラガーマンとして再会できるだろう。

そうであれば、嫌がる君を芦屋ラグビーに連れて行った甲斐があったというものだ。

勉強以外にも仲間と交流できる世界があるのであれば、こんな豊かなことはない。

 

今がちょうどいいくらいのバランスとなっているのではないだろうか。

学業とラグビーが一体となって調和しているように見える。

 

本日11:00キックオフ、小学生の頃を思い出しつつ、家内と二人して、君が走る姿を目で追うことにする。

 

帰りは焼き肉でも食べて帰ろうではないか。