KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

その昔アホであった子らを懐かしむ


朝、子らを起こす。
階下ではカニで出汁とった雑炊を家内が作っている。

目を覚ました二男が言う。
「あ、冬の匂いがする」

そのように一日が始まった。


試験期間に差し掛かった長男には昼も夜もない。
台風で学校が休みであったため彼は私の仕事場で勉強するが持久力が並ではない。

私はそろそろ引き上げたいが長男に手を休める様子は見られず、挙句には傍に寄ってきて協力まで求めてきた。
もう夜の9時である。
しかも明日の試験科目ではなく木曜の化学についてだ。

モル、がよく分からないと言う。

そんなはずはない。


小4で塾へ行かせるまで、子らはアホであった。
まるで野生のゴリラのベイビー達。
何かを概念化して運用する、といった理知からは何万光年も離れた世界で戯れていた。

塾へ通い始め厄介な問題群と格闘し始めて、ヒトとしての片鱗を見せ始めた。
比や割合を理解し、比喩や抽象的表現を使いこなし、机に向かうという単調な時間を過ごせるようになった。

私がこれまで理解できた程度の範囲など軽く超えて、子らの世界が深く広がっていくであろうということがその時分かって、とても安心したことを覚えている。

実際、数理も国語も子らの方がよく出来る。
長男については英語も科目に加わったが、これについても私は降参するしかない。

荒削りな性格に見えて、勉強への取り組みがとても丁寧なのが感心だ。
これはどう考えても君たちの母ゆずりの産物なのだろう。


鉛筆であれ、ビールであれ、12本あれば1ダースと言う。
それと同じで、原子や分子が6.0✕10の23乗個あれば、それを1モルというだけのことである。
基準は炭素で、炭素12グラムを構成する原子数が6.0✕10の23乗個だ。
質量数は1モルあたりの質量比であり、化学式の係数はモルの比を表している。

そう説明し何問か解けばたちどころに理解に至ったようであった。

モルといった概念を無から析出させることは途方も無い困難であるが、理屈を理解しその概念を計算に利用するのは簡単なことである。
本質的には小学生の算数レベルと言えるだろう。


帰宅すると、塾帰りの二男がちょうど駅から自宅まで3kmの道のりを走り切ったところであった。
家に入らず公園に向かい、まだ走るという。

間もなく運動会、秘めたものがあるのであろう。

クルマから降りた長男も荷物を玄関に置いて、これまた走ってくるという。
とりあえず走って、それから勉強した方が頭が働く。
そう言って長男もまた駆け出していった。

この日、長男の消灯は真夜中3時を過ぎた頃であった。

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