KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

たまには女房とはしご酒


金曜夜、予定は何もない。
プールで泳ごうという家内の誘いを固辞し食事に誘う。

向かうは小路の「げんや」。
ちりとり鍋が絶品であるとかねてから聞いていて訪れるチャンスを窺っていた。
出汁が言葉にしがたいほど旨いという。
その出汁を吸い込みグツグツ煮える珠玉ホルモンをついばむ方がプールで泳ぐよりはるかにいい。

事務所にやってきた家内と千日前線に乗る。
帰宅ラッシュ時に重なり幾分混んでいる。
ちょうど二席空いたスペースがあって並んで腰掛ける。

前にはズラリ老若の男子が横一列に並ぶ。
その視線が一方向に吸引されていることに気づく。
視線の先を追うと、私の左側3人横に超ミニのミテミテギャルが座っている。

ダダ漏れの注視とはならぬ程度、男子らの目は蝶が舞うように適当に彷徨いつつ、しかしそこに蜜でもあるかのよう視線はこぞってギャルの膝元あたりに着地する。

いい年格好の背広姿のおじさんがいて、ひときわ粘着的に目を皿のようにし低め一杯の視線を飛ばしている。
そのおじさんをじっと見る。

おじさんは私の視線に気付く。
目が合う。
きまり悪いような表情が一瞬浮かぶも、構わない、それどころではないといった風に、おじさんの視線は平然と再び地を這う皿となった。

ああ、おじさん。
なんと切ない光景なのだろう。


小路で降り南へ徒歩5分のはずが一度通り過ぎたので10分かかった。
すっかり日は落ち季節外れの日中の熱気は見る間に失せて、にわか出現した冷気に街路樹がほどよく香る。

予約時間を5分過ぎて到着、奥のテーブルに案内された。
お店は繁盛しているようだ。
6時にしては結構な混みようである。

生センマイと生レバーを前菜にし、ちりとり鍋へと移る。
ハラミ、ハチノス、上ミノ、ツラミ、エトセトラ、エトセトラ、鍋に放り込んでもらう。
結構なボリュームだ。

噂に違わず美味であって大満足。フーフーハーハー終始おいしくいただけた。
しかもお安い。

週末の疲れが吹き飛ぶ滋養たっぷりの食事となった。
肌もつややか。


久々家内との外出であった。
げんやの前からタクシー駆って昔なつかしのカラオケスナックへ向かう。

げんや、今日も流行ってるみたいやね。
タクシーの運転手はいきなりタメ口であった。
兄弟でここらに数店舗出してホルモンで大儲けらしいで。
忙しすぎてお金つかう暇もないんやて。

生野と東大阪がその国境を南北で接し甲乙つけがたいほど互い濃厚な土着の空気が東西方向に行きつ戻りつする。
その相互作用で国境付近の無骨な空気は同語反復のごとく深く深くそのディープさを極めていく。

深さ極まる峡谷の一角に布施の歓楽エリアがある。
ここから先は一方通行というところでタクシーを降りた。

向かった先は周辺の雰囲気とは裏腹、スナックといった隠微さとは無縁の店である。
明るく小奇麗、山間にあるコテージのカフェテリアといった趣きだ。

「雪の降る街を」を私が歌い場をどんよりとさせ出鼻をくじく。
しかし家内が若く明るく美しく5曲6曲と歌って賑やか楽しい雰囲気で盛り返してくれる。

カラオケ名人だという草履履きの「しんちゃん」と呼ばれるおじさんが、みかけに寄らずの美声で上手く、なぜなのだろう、笑いが止まらなかった。

見知らぬ客らと手拍子しつつ、大はしゃぎ楽しい時間を過ごすことができた。

そろそろ引き上げようという頃合い、夜なのに二組の子連れが来店する。
一人は女の子を連れ、一人は男の子を連れている。

ママらは小綺麗な身なりをしていて、気合を入れて歌いに来たといった様子である。
席に座って子らに早速マリンバを持たせたところからもそのやる気の度合いが窺える。

夜のスナックでマリンバでさんざめく幼子2人。
大阪下町の光景が目に焼き付いた。


家内とはしご酒。
引き続き、顧問先が経営する小阪のバーへと向かう。

布施はディープやね、とタクシーの運転手に話しかけると、返ってきた言葉はやはりタメ口であった。

ディープやで。
でも金曜はまだマシや。
土曜が休みの人なんてほとんどおらんからね。
土曜の夜になったらよおけ人が遊びにやってくる。
ここ曲がるん?

私は運転手と話をしている間、家内が家に電話する。
二男が出て言ったという。
いま、何時やと思ってるん。

すっかりハロウィン仕様となったバーで一杯、飲み直し。
と、オーナーのお出ましとなった。

オーナーは大学時代、日本拳法部で腕を鳴らした武闘家。
静かであったはずのバーでガハハ、ガハハ、刀傷見せられながら数々の武勇伝を聞かされた。


日付が変わる前には帰宅。
平素通り、二男が朝五時に起きたので私も起きる。
家内も食事の支度で起きる。

たまには家内とはしご酒。
いつかは、子らも混ぜてのはしご酒となることであろう。

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