KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

君たち男子の共通言語


立て続け肉が届き、この日もすき焼きとなった。
二男が溶き卵を用意してくれる。

肉については無断での手出しはご法度だ。
牛鍋奉行があてがってくれる分をのみ有難く頬張っていく。

二男と顔見合わせながら絶品の霜降りを堪能する時間のなんて愛おしいことであろうか。
家族で囲む夕飯の幸福が肉の美味をいや増しにしていく。

長男が帰宅する。
学校で友人らと試験勉強に勤しんでいたのだという。
帰途も車中で問題を出し合い競いあったが仕上がりは上々とのことだ。

友人らの面々を思い浮かべれば、どの子もこの子も次世代リーダー間違いなしの強者揃い。
スポーツもでき頭もよく当然に礼儀正しく、彼らが勢揃いしていれば圧巻、その頼もしいことといったらない。
それに上背あって男前とくればこれはもう嫁にもらってと女子なら言わずにおれない騒ぎというものだろう。

家内が長男の分のすき焼きを支度しようとするが、なんと彼はすき焼きは飽いたと不調法を言った。
そこでさすがは牛鍋奉行。
即座切り返し牛丼にすることを提案する。
それは名案と長男は応じた。

家内が霜降りをさっと焼いて丼に盛った白飯のうえふんだんに載せる。
長男は牛丼には卵が必要と、自ら割って黄身だけ取り出し上に添える。

そしてどんな牛丼屋にも置いてない贅沢極まりない一品を瞬く間に平らげていく。

良きことがすべて良きことを導く訳ではない。
家内の料理上手がとんだグルメを生み育ててしまった。
長男の食へのこだわりとうんちくは、そこら十代の水準をはるか凌駕している。


大学時代の友人からメールが届く。

恩師の還暦のお祝いが来月行われる。
その会への誘いであった。
久しぶりなのでその後で仲間を集めて飲もうとある。

誘ってくれるその気持ちにじんと来る。
家内伴い上京する旨を即座返事した。

話を聞いて二男もついてくることになった。
ついこの間までは受験生。
ぶらり出かけるなどありえない息潜める時間を過ごしていたことが嘘のよう。

兄弟二人、試験勉強の手を休め、家族四人揃ってリビングでひとときくつろぐ。
試験を終えれば支度にかかって兄は旅立ち春まで家を留守にする。

ちょうどラグビー仲間らが県選抜としてまもなく全国大会本番の時を迎える。
時を同じくしてこちらも腰を上げたった一人、知人も伝手も、そして同胞もほとんどないであろう極寒の地へと旅立つことになる。
顔には出さないがまだ十代半ば。
希望に胸膨らませる一方で、不安を拭い切れるはずもない。

艱難汝を玉とする。
苦難憂慮でさえ糧となるのが若い男子の特権だ。
相棒だって友達だって誰だって、各自おのおのの試練へと踏み出していく。
もちろんやがては弟も。

どれだけの通過儀礼を経て脱皮を繰り返してきたか。
それが君ら男子の共通言語となることだろう。


土曜日朝5時。
目覚ましがなって二男が起きる。

試験当日、学校の先生が朝7時に登校して質問受けをしてくれるという。

家内も同時に起きて朝食を作り始める。

朝6時。
二男が先陣を切って家を発つ。

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