KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

ほんの少しだけ鼻の奥がツンとなる


家族それぞれ別個に過ごす日曜日となる。
長男はラグビーの練習、二男は来るべき試合に備え自主トレに励み、家内は家族のための買物に出かけた。

私について言えば、大の買い物嫌い。

人混み、レジカウンターの列、品々を吟味するじれったい時間。
思い浮かべるだけで気分が塞いで意気挫ける。

私は一人、ぶらりと街を散歩することにした。
2015年屈指とも言える晴天の日であった。

空がよく冷え一点の曇りもなく見晴らしがいい。
冬至迫り光度が最も減衰する時期のはずだが、空は一面明るい青で輝き渡っている。

空から降る滋養を全身に受けて歩く。
芯に蓄積する疲労が和らぐかのよう、心まで晴れる。


夕刻になって家族が集結した。
家内の運転で四人揃って熊野の郷に向かう。

長男とサウナで横並び座って話を聞く。

まもなく短期留学、学校からはカナダのアボッツフォードへ15人、その他、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなど延べ60名ほどが春まで海外の現地校で過ごすことになる。
長男のように単独の旅程に臨む者も5〜6人はいるという。

三ヶ月程度で話せるようになるなどあり得ないが、この経験は後々ものをいう。
少なくとも今後の継続的な英語への取り組みを強力に加速させていく契機となるに違いない。

三年前、同じ学校を目指し競い合った高槻の友人と同じ国へ同じ時期に行くという符合もまた面白い。
きっと長く続く縁が示唆されているのだろう。


二男と並んで露天風呂に横たわる。
ゆったりと湯につかる。

太陽は西の地平に消え、空は濃紺に染まっている。
飛行機が夜の訪れを告げるように空を横切り、濃紺は更にいっそうその濃さを増していく。

飛行機を見て思い出したのだろうか。
二男が言う。
「レフト・ビハインド」という映画をビデオで見た。
果てしないほどにつまらなかった。

ハラハラ・ドキドキの映画だと思っていたが大違い。
宗教的な啓蒙を旨とするような内容であった。
その世界観に馴染めず鼻白んだ。

気持ちは分かる。
つまらない映画に時間を費やすことほどの無為はない。
映画に当たり外れはつきもので、合わない場合はさっさと切り上げ時間を無駄にしない方がいい。

ところで、宗教的な事柄については不用意にああだこうだは言わない方がいいだろう。

神の御業が及ぶ範囲については人それぞれ思いが異なる。
すべてが神の御心という人もあれば、不信心も裏返せば限りなく信心に近いのだろうか、神などないという信念の者もある。

人それぞれの心の安寧に直接結びつく繊細なトピックであるから迂闊な口出しは誰かを傷つける場合があるし、当たりどころが悪ければ敵意を招きかねない。

映画を見れば、この先将来異国の誰かと話すときに共通の話題となって会話が促進されるようなことが大いに期待できるが、宗教的なまたは政治的な価値評価については要注意である。


夕飯の後、床暖のリビングに集まってTHE MANZAIを見る。
ホカホカカーペットの上に家族四人が寄り集まる。
笑って楽しく更に暖かさが増していく。

ふと思い出す。
長男の出立の日が刻々と迫っている。

漫才を見つつ大笑いしながら、少しさみしいような思いがしてほんの少し、本当にほんの少しだけ鼻の奥がツンとなる。

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