KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

選ぶというよりも選ばれる


業務を終え夕刻、無人となった事務所にて映画「靴職人と魔法のミシン」を見る。

仕事というものを媒介にした父子の物語である。
代々と受け継がれる職人魂が楽しい寓話の姿形で表現されて、面白くかつ示唆に富んで奥深い。

娯楽映画ではあるが少しばかりは厳粛な気持ちも誘う。
自身の仕事について真摯に向き合い、その在り方、考え方を父として子に伝えなければとその責務に思いが至ることになる。

映画では靴が取り扱われるが、靴は、カスタマーの尊厳そのものであり、立場そのものを象徴している。
誰かの立場に思いを向けること、その尊厳を大切に取り扱うこと。

それこそが仕事の富であり、本当の富とはそのような仕事愛、顧客愛を通じて得られるのであると映画は密やかに語る。

この映画は見ておくといい。
自宅に戻って二男にDVDを渡した。


この日は関西の統一入試解禁日であった。
母校の中学でも入試が行われた。

聞くところ、受験者を対象に行われた志望校調査で、西大和を第一志望とする生徒の数が結構なボリュームに上ったという。

東大寺を第一志望とする者はチラホラ見える程度だったというのは分かるが、星光の入試会場であり地元大阪であり統一入試日の初日であれば、星光を第一志望と書く者が大勢を占めるのが当然と思っていたので、西大和を第一志望とする数が星光に迫る勢いであったということに驚きを隠せない。

徐々にそのような傾向は見られていたらしいが昨年あたりから顕著となったようである。

今年西大和の志願者数は減少しているが第一志望者は増加していると見られる。
どうやらかつてと異なり、志願者の層について質的な変化が生じていることは間違いないことのようである。

お株とられる前に母校星光の巻き返しを期待したいとは思うものの、そのような動向など意に介さず我道を行くのが星光の最大の長所であるとも言え、同じ土俵にはあえて上がらず、他所は他所うちはうちとあたふたせず静観するのが長期的には最良なのかもしれない。

そして今日、洛星や星光を受けた受験生らが場を西大和に移し、更にそこに入試二日目を終えた灘や甲陽の受験生らが合流し、精鋭が勢揃いの上でしのぎを削ることになる。
ハイレベルな激戦は避けられないだろう。

引き続いて明日、この精鋭らは洛南または東大寺の二手に別れ関西の入試は大詰めを迎えることになる。

三日間に凝縮された試験日程はあまりに熾烈で過酷なので、無事にやり終え、それでどこかに通れば御の字だというようなものだろう。

いろいろな綾で進むべき道が決まる。
選ぶというよりも選ばれる。
何かの思し召しによって配属が決まるようなもの。

やれやれと一段落し、またたく間に桜満開の春が訪れる。
縁があった学校から、嬉しいことにさらに無数の縁が生まれていく。


英語に専念したいと日本語を封印する長男であるので、英文でメールを送る。
日本の様子について知らせる。

文明の利器は素晴らしい。
一万km以上離れているのに瞬く間に返事が届く。

学校は楽しい。
食事は美味しい。
ずっとここで過ごしたい。

文面はごくごく短い。
それでも十分。

じっとその短い言葉に目を落とし、Take care とだけ記し返信した。

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