KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

仕事に向き合うスピリット

西天満からの帰途、ぱらつく程度だった雨がだしぬけ本降りとなった。
雨宿りにと一杯飲み屋の暖簾をくぐった。

金曜の夜、大衆酒場は混み合って相席となった。
二人テーブルの片方の丸椅子に腰掛ける。

前に座るご老人は年の頃80後半といったところだろうか。
80を過ぎるとお歳召された分だけカラダが一回り二回り小さくなっていく。

小ぶりなご老体が静か寡黙に日本酒を嗜んでいる。
あては赤身の刺身一品のみ。

わたしはビールを手酌で飲みつつ、古老の様子をちらちらと覗き見る。
会話は不要とその横顔が語っている。

おそらくは仕事も現役続行中なのであろう。
ちょいと一杯軽く引っ掛ける飲み方が実に様になっていて粋である。

出で立ちもなかなかのもの。
シャツと帽子のブルーのストライプが上品に調和している。

その昔、連れ合いが選んだものをいまも大事に身に着けている、そのように窺える。
宵も深まるこの時間、一人酒場で過ごすのであるから奥方は先立ってすでに向こうにあるということかもしれない。

ご老人が飲み終えて席を立ち、ほどなくわたしも引き上げる。
小腹埋まってほろ酔い。
雨はすっかりあがっている。
上機嫌で帰途につく。

駅を降り歩いてまもなく家の灯りが視界に入った。
そのとき耳に流れる音楽がU2のStay(Faraway, So Close!)となる。
折りに触れ20年ほども聴き続けている名曲だ。
わたしのなか不動のベストと言ってもいい。

子らを連れ男三人でドライブしつつこの曲を聴く。
ふとそんな光景が思い浮かんだ。
窓外の移りゆく景色をぼんやり眺めつつ、我ら共有の時間をこの曲に融け込ませていく。

たまたま出合った男子三人、その三人のテーマ曲を選ぶならこれ以外にないだろう。
それぞれがいつかまたこの曲に触れ各自を想うことになるのであれば、こんな素晴らしいことはない。

リビングで試験勉強に勤しむ長男にエールを送って、寝支度整え今夜も和室で二男と過ごす。
今夜は映画、トム・ハンクスの「ブリッジオブスパイ」を二人並んで観る。

我が家の健さんにとってはたかが英検、だからその結果についてお首にも出さず一切わたしに告げない。
中一で初めて英語に触れ、兄に引き続き中二初っ端で英検準二なら悪くない、結果をすでに家内から聞いた私はただそう思うだけで何も触れない。

映画見終えて拍手喝采したくなった。
男子であれば誰だっていたく感銘を受けるに違いない。
仕事に向き合うスピリットについては事あるごとに学んで鮮度保ち続けることが欠かせないが、この映画は全仕事人がその職業観を再点検する上でうってつけの作品だと言えるだろう。

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