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KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

思い描いただけで心わきたつ

チキンとフィッシュにサラダにトーフ。
ドリンクはペリエ。
トップモデルがするような食事である。

ゆっくり味わって食べる。
野菜がみずみずしくて食感よく、ガーリックで味付けられたチキンが明日への活力を養う。
サンマがいい具合の焼き加減、のった脂が香ばしい。

二男の試験勉強の邪魔にならぬよう、デザートのトーフを平らげた後はさっさと自室へと引き上げる。

映画「ルーム」を見始めた。
予備知識なしでの鑑賞であったので序盤しばらく状況設定が全く分からない。
出だしから三十分を経過してやっとのこと、母子を取り巻く事情が見えてきた。

呑み込めてからは、息を塞がれるような苦しい思いを余儀なくされた。

映像で見るこの窮屈感と圧迫感、一見の価値ありであろう。
ストーリーは忘れても、映像体験の方はクッキリ脳裡に残るに違いない。

ここで描かれた八方塞がりを敢えてメタファーと捉えれば、実生活でもたまには役立つアングルとして後々重宝するようにも思える。

いま自分は閉じ込められているのではないだろうか。
外には何があるのだろう。
外へと脱け出すことはできるのか、そこでやっていくことはできるのか。

狭いルームのなかに閉じ込められている、そういった観点で現状を眺めてはじめて、自身を縛る制約やしがらみが浮き彫りとなる、ということもあるだろう。
それらが見えぬままであるよりよほどまし、少なくとも一歩は前進だ。

映画を見終えた頃合い、長男がやってきてわたしの横に寝転がった。
並んで寝そべり、ぽつりぽつりと会話する。

夜、静かな自室で息子と話す。
わたしにとってこれ以上幸せな時間はない。

本腰入れて受験勉強するのにはまだ猶予があるにしても、そろそろ大学のターゲットについては絞り始める時期だろう。
そういった話となる。

ひとつの参考例として、先日出会った星光の後輩のことを話題に取り上げた。
海外に出たいという思いが強く、彼は大学の選定にあたっては、偏差値などは脇にのけ、留学制度の充実度を最優先の指標に置いた。

それで選択肢の筆頭に浮上したのが一橋大学だった。
そこで成績優秀ならびっくりするようなビッグネームの大学に留学が叶う。
実際、彼はイギリスへの留学を果たし、そこを足がかりに世界をまたにかける日常を送ることになった。

わたしは一橋大学のことを何一つ知らなかった。
東大よりは広き門で京大と同じくらいなのかどうなのか、といった本質から遠く外れた、意味の乏しい情報しか持ち合わていなかった。

世の中、知らないことばかり。
そう謙虚になったほうが、良き情報と巡り合える確率がいや増しになるだろう。

大学を選ぶにしても切り口はいくつもある。

この探索は未来そのものの探索であるか面白くて仕方ないはずであり、つまりまもなく、最もウキウキワクワク心わきたつ、人生萌芽のときのときを迎えるということになる。

思い描いただけで、心震えて鳥肌が立つ。
そんな未来に向けて進めるのだから、なんて楽しいことだろう。

長男が立ち去ったあと、寝床に入るがなかなか寝付けない。
まるで我が事のよう、自分が新しく大学に入る身になったみたいに気持ち昂ぶった。

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El violinista celeste de Marc Chagall