KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

馬力、馬力の二頭立て

部活の道具を新しいものに買い換える必要があった。
二男をクルマに乗せ老舗スポーツ店を訪れる。

わたしはクルマのなかで待つ。
ハザードランプが暗く翳り始めた路面を規則正しいリズムで照らす。

マイ・レボリューションに続いてフレンズ、昭和の歌謡曲が二曲ほど流れたところで二男が戻ってきた。
端から心に決めた品があったようだ。

クルマを発進させる。

助手席に座る二男は新品の相棒を傍らにして落ち着かない様子だ。
一刻も早くグランドを駆けて手に馴染ませたい、そう見える。

早く帰ろうと急く二男を制し、ナビの行き先を大野記念病院に設定した。
近くに結構いける焼鳥屋があった。

去年、長男の学校の父兄に連れられて感嘆し再訪を期していた。
が、訪れる機会は全くなかった。

せっかく帰り道にある。
素通りできるはずがない。

タコちゃんの5周年記念でも先日のギャツリー邸BBQの際にも大野記念病院の先生がいて、川向いに美味い焼鳥屋ありますよねとわたしから話題にし、しかし結局、店名を思い出せず尻切れトンボで話が途切れた。

今回、明確に覚えた。
店の名は、幸町可真人。

まだ早い時間だったので客はまばらだった。
わたしたちはテーブル席に腰掛けた。

わたしはノンアルコールのビールを頼んだ。
普段は飲まないというスタイルがいよいよ定着し始めたと言えるだろう。

昨日の日記に通じるが、これもひとつのディフェンス。
お酒をやめるつもりは毛頭ないが、日頃は飲まない方が快調で、よく眠れて目覚めもよく、仕事の調子もいい。
だから自然とそう心がけることになって、なんだかこのペースが長く長く続きそうな気がする。

二男は買ったばかりの真新しい相棒のことなどすっかり忘れて、焼鳥に心奪われた。
食べることが若き男子の仕事みたいなものである。
そういう意味では、超一級の仕事人と言えるだろう。

わたしの分も次から次へと平らげていく。
食べれば食べるほど頼もしい。
その馬力に見惚れてしまう。

そしてこの夜、ほど近いところ、長男は満を持し戦いの場に臨んでいた。
力量からすれば独壇場。
初陣飾って羽ばたくための跳躍台。
そのように彼自身が位置づける大会であった。

学校を代表して、という自負心もあった。
スピード感は随一。
そこに多彩なバリエーションと意表つくアドリブが組み合わさって変幻自在で小気味いい。

しかし勝負は蓋を開けるまで分からない。
応援に駆けつけた彼の友人らが発信するので、ほぼリアルタイムで戦況が分かる。

わたしはひとり自室で戦況を見守る。
時折、公園を走り回っている二男の姿に目をやった。

一回戦、相手を圧倒し軽々と突破。
しかし二回戦、意外な判定に屈し敗退となった。

どうみても勝っていたように見えた。
判定を下す際、レフリーが対戦した両者を取り違えるゴタゴタがあった。
そのどさくさが影響し、勝敗に関し正確な集計とならなかったのではないか。

親バカはそう決めつける。

これで全国大会出場はなくなかった。
しかし、余技のひとつで願いが叶わなかっただけのことであり、親としては見事戦ったことだけで十分満足だ。

勉強よりも何よりも、勝つことを目標に長く時間かけ準備したその心意気が頼もしい。

ちっぽけであっても馬力は馬力、いつかささやか世のため人のためになるとすれば、親としてこんな嬉しいことはない。
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