KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

この静けさがたまらない

この静かさのなかにずっといたい。
意識澄み渡って、そのこと自体が心地いいという状態が続いた。

仕事後、コーヒーを片手に届いたばかりの書籍を紐解き、流し読みしながら読破するスケジュールを組み立てる。
闘志ふつふつと湧く。
組み伏せるのは容易い、そんな手応えを感じつつページをめくる。

せっかく携わっているのだから自らの領分を更により良く深めたい、そのような意欲が生じて中年ながら決意した。
もっと頑張ってみよう。
シンプルに、まじりっ気なく意気込む自分がとても新鮮に感じられる。

このテンション、すっかりお酒の疲労が抜けたからこその状態と言えるのだろう。
長年の晩酌生活でくすぶっていた意識が、若き頃の活性を取り戻したようにも思える。

気力ますます高まっていくようなこの静かさのなか、ここを居場所に、ずっとここで過ごしたい。
そう願うような気持ちになる。

かつて願掛けを兼ねお酒をやめたことが数回あった。
独立したとき、子が生まれたとき、居を構えたとき、など。
猛然とそれこそ炎となって仕事しなければならず、自身に禁酒を強いて一滴も飲まなかった。

そうこうするうちある程度の達成をみて、張った気もほぐれ、もうよかろうと、晩酌の世界に復帰した。
どれもたいてい半年程度のお務めであったと思う。

ここ数年は、自らに何かを強いるような切羽詰まった状況とは無縁であって、お酒をやめようなど頭をよぎることさえなかった。

今回、日常的にお酒を飲まなくなって一ヶ月以上経過するが、肩肘張ってのことではない。

第一、今夜も飲み会があって、やる気まんまん。
そもそもからしてお酒好き。
だから酒席は大歓迎。

ただ、一人過ごす夜、このほど出合った静かさの心地よさに優るものはない、そう思う。
だから当分しばらくは、夜の時間を愛おしむように、静かさのなかで過ごすのだろうという気がする。

これもまた、地味であっても日常の暮らしが安定しているからこその話だろう。

あれがどうしたこれがどうしたといったトラブル続きであれば、前を向くどころか後ろへ走りっぱなしの弱小チームのディフェンダーみたいなものであり、つまりは常に火消しに回るような毎日を余儀なくされたであろう。
であれば、慰みもののぬいぐるみを抱くみたい、お酒なしでは過ごせないということであったかもしれない。

階下からは、楽しげな団欒の声が聴こえる。
久々戻った長男を皆で質問攻めにしているようだ。

この静けさがたまらない。
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Pub à Dublin 1950s,  Hans W. Silvester