KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

日曜夜の一場面

夜はカニすきを囲む。
そう連絡を受け夕刻には用事を切り上げた。

雨足強く日没後の道路は視界不良。
いつも以上に安全運転を心がける。

帰りがてら先に風呂を済まそうと和らかの湯に足を向ける。
が、駐車の順を待つ車列が数珠つなぎで長く伸び、ひと目見て即座あきらめた。

後ろを後続車両に塞がれぬよう、敏捷な小動物みたいに咄嗟にバックし方向転換する。

このエリアは風呂だけではなく幾つかの巨大飲食店が集積している。
日曜夕刻、団欒の時間を過ごす家族でひしめき合っていて当然だろう。

北上し山手幹線に入って西に折れる。

ここらにも数々の飲食店が立ち並ぶ。
人気店付近では道路の左車線にまでクルマの列がはみ出している。

雨であれば家族の団欒にクルマが必需。
日曜なのに平日を上回る量のクルマで道路は埋め尽くされていた。

至る所にひしめく団欒をかいくぐって、ようやく帰宅。
晴れて子らが座るテーブルに合流すること叶った。

しかし、さあカニだと張り切るわたしをよそに子どもたちは気もそぞろ。

あいにくの期末試験であった。
日曜が明ければすぐ試験となってしかも長丁場の戦いとなる。

そんなとき、カニほどまどろっこしい食べ物はない。
今年最後の試験、その開幕前夜。
試験であればいつだって本気も本気の真剣勝負。

意識は勉強にだけ向いているので、悠長にカニの身をほじっている暇はない。

カニは我が家を訪れる時期を誤った。
そう言うしかないだろう。

気が急く兄弟の前に放り込まれた場合、カニはその本分である役割を果たせない。

ゆったり流れる時間の演出に一役買うこともなく、今夜のカニはまるで獰猛なアザラシたちにそうされるみたいに手荒もみくちゃ瞬く間に身を剥ぎ取られガツガツと平らげられてしまった。

二人の男子がナショナルジオグラフィックの誌面を飾る日はそう遠くないだろう。

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Pepi Merisio, In Campo San, 1958