KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

土曜夜、長男と過ごし二男と過ごす。

迎えよろしく、との連絡があって灘浜グランドに向かう。
途中浜田温泉に寄って風呂を済ませる。

土曜夜、神戸方面へと続く43号線はがら空きでスムーズなクルマの流れが心地良い。
こんな道だと運転が全く苦にならない。

夜9時、練習終えた長男を乗せ大阪方面へと引き返す。
途中で左に折れ2号線を目指す。

行きも帰りも43号線など殺風景に過ぎてつまらない。
時間の制約がないのであれば2号線の方が好ましい。
街の顔が見え人肌に近く、暮らしの息遣いが感じられる。
2号線を選ぶのが人情というものであろう。

運転しつつ長男の話に耳傾ける。
先だっての定期考査の結果についてそうかそうかと頷いて、学校の先生についての話にもそうかそうかと頷く。
良い先生方に恵まれて本当にありがたいことである。

クルマは子らと親密に過ごすことのできる特別な空間だ。
チビっ子当時からの横顔の変遷がクルマ助手席に刻印されている。

まさに文字通り、クルマに乗って彼らとひと山ふた山越えてきた。
だから、我が家にとってクルマは過去と現在が同居する場所とも言え、運転すれば自ずと過去を振り返りことになる。

どこからどう考えても長男にとってドンピシャ、お誂え向きの学校であった。
これはもうお導きがあったと思うしか説明のつけようがない。
先生や友人らによって良き触発を受け、彼が望む方向へとその導きは現在も力強く稼働中であるように思える。
こんなに頼もしいことはない。

帰宅すると家内が長男の食事の用意を整えていた。
家内と長男の会話が始まったリビングを後にし、わたしは寝支度整え寝室に向かう。

二男と横並び本を読む。
日曜前夜、彼にとってもっとも心くつろげる時間帯だ。

二男が手にする本のタイトルに見覚えがある。
わたしが大学生のときに読んだ小説だ。
同じ文字列をたどって彼もまたその世界を味わっているのだと思えばなんだか嬉しい。

時折、ページから目を離して会話する。
定期試験の結果についてそうかそうかと頷いて、学校の先生についての話にもそうかそうかと頷く。
先生はとても良くしてくれるし、友人にも恵まれている。

彼は彼で絶妙にマッチする学校に進んだのだと思える。
不思議としか言いようがない。
やはりお導きといった何らか不可視の働きが存在するのだろうか。

そもそもわたしが子らと出会って時間を共有できること自体が奇跡のようなものであって、奇跡については人知の範疇外であり説明のつけようがない。
だからその後のことも含め全てについて偶然と片付けるのでなければ、やはりどうやらお導きとでも言ってことを収めるしかない。

このように過ごせるひとときの幸せを噛み締めつつ考える。
子らと出会う前は、わたしにとって幸福はどこか外側にある観念のようなものであった。
「内」の世界と「外」の世界、二つの価値があるとして、どちらかと言えば、外に重きがあった。

無力な独り身の男子の「内」など空虚であって、そこを価値の基盤にできるはずもなかった。
だから人目が気になって、似合いもしないのに服や持ち物や髪型などファッションに気を使ったり、世間体を窺うような卑屈さが拭いきれなかった。

つまり極端に言えば、世間がオッケーと言ってくれるなら、それではじめて自分はオッケー、そういった受け身的考え方に支配されていたということである。

自分自身であることに安住できないのであるから、それは危うく脆い状態とも言えた。

子を授かって、それどころではなくなって、世の真実に気づくことになった。
世間など実体のない虚妄のようなものであり便宜的な言葉以上の意味はなく、だから世間体におもねるなど群居する案山子の目を気にして消耗するようなものと言えた。

案山子に聞けばわかると思うが、彼らにとっては誰がどうであろうと知ったことではない。
せいぜい「へ」が「点」になるくらいの話であって、いずれにせよ同じようなものである。

「外」には野ざらし吹きさらしの「外」があるだけであり、価値は「内」にしかないものであった。
「外」にあるかに見えた価値は思い込みのようなものであり、バイアスのかかった「内」の価値の成れの果てのようなものに過ぎなかった。

そして内なる価値を構成する基本要素は至ってシンプル。
ご飯が美味しく、スヤスヤ眠れて、家族が仲良く笑顔で、友だちがいて、自由があって、人の役に立てる。
これで十分お値打ちの人生、申し分ないほどの幸福を感受できる。

他はすべて、なくてもまかなえるようなオマケと言って済ませられる。

伝えるとすれば、いたってシンプル。
背筋伸ばして自然体、内を見る眼を養ってあとは好きにすればいいのである。

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