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KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

生活の実質を実感した夜

忙しいときには助っ人として駆けつけてもらう。
この日も用事を幾つか頼んであった。

本町の公証役場で合流し夕刻5時前には晴れて業務が完遂した。
ご飯でも食べに行こうとぶらり歩く。

天満にいい店があるという。
御堂筋を北上し中之島で右に折れ天神橋筋商店街を抜けた。

慣れ親しんだ天満界隈の街並みを夫婦で懐かしみながら歩いて目当ての店を探す。
懐に優しいお店がひしめき合っていて当時の活気そのままである。

かつて夫婦でしばしば訪れた。
長男が生まれたばかりで二男が姿を現す前のこと。

いまとなっては遠い昔のことのように思える。

少し迷うがすでに待ち客の列があってそれが目印となった。
店名はアネロ。
人気のイタリアンだそうである。

ちょうどタイミング良く開店となって夫婦並んでカウンターに腰掛けた。

大学生の頃のこと。
両親がしょっちゅう食事に出かける、そんな話をサークルの女子がしていたことがあった。
いい話だとそのときわたしは思ったのであったが、思えばいまささやかながら実現できている。

家内が注文するのに任せる。

ビールで乾杯し、一品一品を味わって食べる。
噂に違わずめっぽう美味しい。

お酒がすすんで、すぐにワインも注文することになった。

もっぱら家内が話し、わたしが食べる。
ときおり家内が食べ、わたしが話す。

しめはウニのパスタ。
なんという騒ぎの美味しさであろう。
絶品であった。

大満足の食事を終え今度は家族総出で訪れようと話しながら南森町まで引き返す。

電車での帰途、二男の夏の旅路について意見を交わす。
ホームステイではなく多国籍集う寄宿舎がいい、さて場所はどこがいいだろう。

駅を降りる頃には概要が決まった。
わたしたち夫婦が旅に出るかのようであって気分浮き立つ。

途中、明日の弁当の食材を買うというのでスーパーに寄った。
わたしはカゴを提げ、家内のあとを着いて歩く。

と、家内が声を上げた。
アイスを物色する二男の姿がそこにあったのだった。
二男が生まれる前の街を後にして二男に出会う。

なんと奇遇な。
わたしも歓喜した。

聞けば夕飯にチャーシュー麺と炒飯と餃子を食べ、その帰りなのだという。
そうかそうか美味かったか、こっちは美味しいイタリアンを見つけたぞ、といった会話をしながら、3人並んで家路についた。

生活の実質とはこのようなことを言うのだろう、そうしみじみ実感する夜となった。

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Alentejo Portugal | 1950 Henri Cartier-Bresson