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KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

晴れ渡る空をバックに見上げる日

一番好きな映画は『リトル・ダンサー』。
ストーリーもいいし音楽もいい。
でも何が一番好きといって、父として感情移入でき泣けるところだろう。

映画のラスト。
あの小さかったエリオットが第一人者となって檜舞台に立つ。
老いた父の目に映るその姿には、幼かった頃のエリオットの面影も重なっているに違いない。
そう思うと涙止まらない。

すっくと立って背筋伸びた息子の姿をこの目にできれるのであればそれこそ本望、大げさではなく思い残すことなど何もない。

だから、そういった要素ある映画は軒並み好きになって、折りに触れ繰り返し見ることになる。
大好物なのだから仕方ない。

数日前は、『マダム・マロリーと魔法のスパイス』を見て気に入った。

故郷インドを後にした料理人一家がイギリスを経てフランスにやってくる。
息子ハッサンは料理の天才。
今は亡き母に料理の真髄とその心を叩き込まれている。

だからフランスにおいても頭角を現す。
料理世界の総本山パリでも名声集め料理界きっての新星としてスターダムを駆け上がっていく。
ついには雑誌の表紙を飾るまでになる。

父はカフェに座って雑誌の表紙を指差してウエイターに言う。
これはおれの息子だ。

わたしもそういったシーンを待ちわびる。
もちろん雑誌に載って欲しいといったような話ではなく、「これはおれの息子だ」、そう思って春の風を胸深く吸い込みたい、そう思うだけのことである。

だから例えば、ぶらり一緒に食事するような場面で十分。
いっぱしの男っぷりとなった息子と肩並べて飯食えば、ただそれだけで誇らしい。

きっと大丈夫。
あっちへクネクネこっちへクネクネしながらもそれさえ勢いにして、うちの苗木もそれなり上へ上へと伸びていってくれるはずである。

いつの日か、晴れ渡る空をバックに樹木を見上げる。
たわわ実の成る枝ぶりが風に吹かれてなお涼しげに見える。

そんな日が必ず来る、そう思うと他には何もいらないと親もまた涼しく清々しい境地に達する。

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© Francesc Catalá-Roca.