KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

いつだって子らが主役

インスタにアップされた一枚の写真が引き金になった。
涼しげに佇む冷麺があまりに美しく、その写真を見た瞬間わたしたちの夕飯のメニューが決まったも同然であった。

家族3人で連れ立ち、夕刻の新長田駅に降り立った。

長田独特の空気を肌で感じつつ歩くこと5分。
長田郵便局前にある平壌冷麺に到着した。
数年ぶり、神戸きっての名店を再訪することになった。

席につきとりあえずはメニューにある肉を一種類ずつ注文する。
互いコップに注いでビールで乾杯し、次々運ばれてくる肉を家内と手分けして焼く。
大盛ライスを片手に二男も準備万端。

ちょうど夕飯時。
続々と家族連れが来店しテーブルが埋まっていく。

昭和14年創業の老舗である。
下町情緒あふれる地で、昔ながらの仕方で肉を焼き食べるこの風情が何とも言えない。

辛味の味付けも手伝って、熱を帯びたみたいになってわたしたちは肉にのめり込んでいった。

血がちゃきちゃき全身を巡ってカラダも温まった頃合い、冷麺を注文する。
何といっても、ここは関西屈指の冷麺屋。

一度食べればやみつきになって飽きることなくことあるごとに食べたいとの衝動が込み上がる。

それに栄養満点。
滋養強壮・虚弱体質・肉体疲労・病中病後・食欲不振・産前産後の栄養補給と言えばスタミナドリンクを思い浮かべる向きが多いだろうが、効能において冷麺の方が圧倒的に勝るのは間違いない。
その証拠、平壌冷麺を訪れる妊産婦はいまも後を絶たない。

だから長田まで来て食べずに帰るなどあり得ない話であり、焼肉もライスもすべてが前菜という位置付けになる。

まもなく本日の主役、冷麺大盛が3つ運ばれてきた。
スープはどこまでも透き通り、世界のどの湖面の透明度をも寄せ付けないほどの美しさをたたえている。

おそらく地上でもっとも美味しい食べ物。
今生の別れに膳が用意されるなら不可欠の一品であると断言できる。

酢をたっぷりと注いで食べる。
やはり、美味い。
一口食べ家族で顔を見合わせ、また各自麺に没頭し、また顔を見合わせる。

大満足の食事も佳境に至り、家内がここの名物でもある焼肉丼のテイクアウトを注文した。
彼女はいつだって子のことを忘れない。

それだけでなく家内は更にロース一人前も追加した。
焼肉丼にはバラ肉が載るがロースも焼いてそこに加え特製スペシャル焼肉丼にするという算段なのだった。

網を変えてもらい一枚一枚丁寧にロースを焼きできたての焼肉丼の上に載せていく。
この場に不在の長男にも美味しいものを食べさせたい、いつだって子らが主役というその母性が体現されたシーンと言えた。

終始とてもいい食事の時間を過ごせた。
美味しいのは当然として、2階を切り盛りしていたバイト女子がどんな局面でも出足よく明るく愛想よく働き者で好感が持てた。

家族3人でそのバイト女子について話しつつ帰途についた。

女子も必ず働き者であった方がいい。
面倒な用事する段になると決まって要領よく姿を消すような不心得の無精者はどこにでもいて思った以上に世にはばかっている。

うっかりそんな性根の女子を女房にすれば足を引っ張られ自分の首を締めることになる。
小さな楽を得る代わりに周囲の不快と顰蹙を買っているだろうから、伴侶にすれば間違いなく自身が細って運気も下がる。

だから必ず気働きある働き者をめとるのがいいだろう。

そのような話を数々の事例を交え二男にこんこんと説くうち家に着いた。
リビングに上がるとそこでは白熱した議論が繰り広げられていた。
学校行事で司会務めるトリオがここに集結し、進行について打ち合わせをしているのだった。

テレビで漫才が放送されていたが、よほど彼らの会話の方が面白かった。
傍で耳をそばだて、若くみずみずしい数々の発想に大いに感心させられ腹を抱えることになった。
アイデアの具体については本番の楽しみということでここでは秘するのが男の仁義というものだろう。

一夜明け、今日の昼。
昨晩の焼肉の余韻が残っていたのだろう、二男たっての希望で肉を調達しベランダで焼くことになった。
GW最終日、陽光浴びつつ肉を焼いて食べる。

我ら家族にふさわしい締めくくりとなった。

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Bert Hardy, via James Hyman Gallery.