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KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

この日最大の学び

上海で外科医として働くまっちゃんは大阪星光33期。
この夏、まっちゃんに会おう。
そう思い立ったが吉日、まっちゃんに連絡し日取りを決めて航空券を買った。

あとはホテル。
旅行シーズンである。
うかうかすれば、いい部屋を取り逃がす。

善は急げでネットに向かった。

海外大手の予約サイトに行き着く。
規模と取扱量から判断し他サイトよりも安くいいホテルが予約できる。
しばらく閲覧しそういう感触を得た。

どのホテルも写真映りがよく迷う。
手始めに、そこそこ格もあって人気あるホテルを押さえることにした。

宿泊プランのページに入ると、現在5人が閲覧中、残室5部屋といった表示が出て、何やら急くような気持ちにさせられた。
うかうかしていられない。

予約の画面に入る。
氏名やら入力していると「たったいま予約で一部屋埋まったので急いでください」とのメッセージが画面上を流れた。

遅れをとってはならない。
急く上に、急く。

まるで仕事するみたいMAXのスピードで入力画面を走り抜け、わたしは無事部屋の確保に成功した。

これでひとまず安心なのであるが、せっかく数日過ごすのである。
じっくり吟味し選択しよう。
そう思って閲覧を続けていると、やたらプールのキレイなホテルに行き当たった。
ここも残り5部屋。

さっきの要領で、走り抜けた。
とりあえず押さえ、後で家族の意見を求めて最終決定すればいい。

そう思って予約画面を確認し、わたしは言葉を失った。

最初に予約したホテルは現地決済であり一週間前までキャンセル料無料とあるが、二番目に予約したホテルの方はカードでの決済がすでに完了していてしかもキャンセル不可との表示がある。

予約過程のどこにも、キャンセル不可物件だから気をつけなよ、ほんとにいいの、と注意促すような箇所はなかったはずだった。
だから一番目のホテルと同様入力画面を走り抜けたのだ。

試しにキャンセルボタンを押すと、決済金額全額がキャンセル料になるがそれでいいか、と脅しのようなメッセージが出て、慌ててわたしは首を振って、キャンセル手続きを踏みとどまった。

プールがキレイからそれでいいか。
そう諦めかけ、しかし思い直す。
こんなバカな話があるものか。
そんなホテルに泊まるなどあり得ない。

コールセンターに連絡入れると、予約不可プランですよと最初はにべもなかったが、ネット詐欺のようなものではないかと食い下がってようやくのこと善処するとの返答を得た。

しばらく後、メールが届いた。
今回は「例外的に」キャンセル料ゼロでの取り計らいと致します、とのことであった。

一旦決済完了したので、お金は引き落とされるが、数ヶ月後には返金される。
おそくら多分、返金される。

やれやれ、であった。

残室5部屋との表示で、いともあっけなくわたしは煽られ踊らされ、脇目も振らず全力疾走させられた。
赤子の手をひねるようなものである。
人心を扱うことのなんと容易いことだろう。

問題が解決でき少し気持ちにゆとりができた。
それで他サイトものぞいたのであるが、笑うしかなかった。

どこもかしこも最安値と謳って、結局はどこもかしこもどんぐりの背比べ。

あちこちのサイトで同様のプランが星の数ほどもあった。
残室5部屋との表示など、信憑性怪しい眉唾な数字でしかなかった。
要するに、クリックを急くための営業上のあざといテクニックというようなものであったのだ。

ゆりやんレトリィバァの箴言がふと頭をよぎった。
「落ち着いていきや〜」

わたしは自分でも呟いた。
「落ち着いていきや~」
何度でも唱え、肝に銘じなければならなかった。

「落ち着いていきや~」
今日最大の学びでこれであった。

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Thomas Dworzak, Clap Dance, Gunib, Daghestan, Russia 1996.