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KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

あとは見守るだけ

夕刻、家内を伴い事務所近くの寿司屋に寄る。
市場が近くてネタがいい。

カウンターに腰掛け、わたしは烏龍茶を頼む。

人生初、もっかピロリ菌の除菌中。
この日でボノサップ服用6日目。
お酒は厳禁だ。

わたしは握りをおまかせで頼み、後は家内に任せる。
なす、貝柱、あじ、クエの煮付け、そしてタコとハモの天ぷらといった注文が告げられた。

ぷっくりとした肉付きでクエの煮付けがやたらと美味しい。
特に口元付近にはコラーゲンが集積していて女性にとってお誂え向き。

二人で分け合って食べつつ、あれやこれや延々と続く家内の話に耳を傾ける。

このところは子らもそれぞれのスケジュールを疾走しているため、一緒に過ごす時間がなかなか取れない。
今後はますますその傾向が強まっていくのだろう。

じゃあ、キャンプでも始めよう。
だしぬけに家内がそう切り出した。

学生時代、テントで各地を野宿した身。
だからわたしに抵抗は全くないが、まさか家内が関心持つとは思わなかった。

が、名案だろう。
ホテルで快適に寝泊まりするのもいいけれど、自然のなか過ごす一夜も一興だ。

クルマに装備積み、景勝の地を探ってねぐらを定める。
近くに温泉と道の駅があるのが必須だ。

その地の名湯で疲れを癒やし、せせらぐ川面に映る月影など眺めつつワイングラスを傾ける。
風吹き渡る草木のなかに同化して過ごせば、日常の澱のようなものもたちまち雲散霧消していくことだろう。
夜が明ければ、新鮮な空気を全身に浴びて、朝の静寂をウォーキングする。

思い浮かべただけで命の息吹を吹き込まれるかのよう、心がにわかに活気立つ。
全会一致を以って、家内の議案は可決されることになった。

締めとして家内がトロたくを二人分注文し、わたしは烏龍茶をお代りした。

食べ終えてしばらくし、子らの土産のちらし寿司大盛りが仕上がった。
一面に豪華な具が鏤められていて、見るからに絶品。
子らの喜ぶ顔が思い浮かぶ。

帰宅してからもお茶を飲みつつ家内の二万語の続きに耳傾けることになった。
先日旅した台北で家内が仕入れた烏龍茶を淹れてもらったのだが、市販の烏龍茶とは比較にならない味わい深さであった。
やはり何事も本場が秀でているのだろう。

子らの帰りを待ちつつ思う。
彼らはそれぞれが巣立つ準備に取り掛かり、親が気づかぬうち子育ては次のステージへと移行しつつある。
あとは見守るだけ、そのようになっていくのだろう。

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William Degouve de Nuncques, Nocturne in the Parc Royal in Brussels 1897.