KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

百%ええとこ取りの傍観者

同じ稼業の若手と道中をともにすることになった。

見るからに疲労困憊といった様子。
聞けば、扱う件数多く連日午前様なのだという。

同業だからそのたいへんさが我が事のように分かる。

じゃあ勉強の時間は週末にしか取れないね。
労うようにそう言葉をかけると、彼は言った。
土日は子のお守りにかかりっきりで勉強どころじゃないんです。

彼がこぼすところによると、女房は専業主婦だが平日の子守疲れを癒やすため土日になると子を亭主に預け自由に羽ばたくのだという。

もう若くはない、そんな年齢に差し掛かっても延々下働きに精を出し、週末はカミさんのために身を捧げる。
そんな風に老いていく彼の未来像がその場に一瞬浮かんではかなく消えた。

うちは彼の家庭とは正反対であった。

子らが小さいとき、我が家はさながら母子家庭といった様相であった。
仕事に明け暮れ土日も業務に邁進し過ごしていたので、わたしには子育てを分担したという記憶がない。

子育てにおいては、百%ええとこ取りの傍観者みたいなものであった。

とても褒められた話ではないが、子育てそっちのけだった当時の奮闘があればこそ、何とかいま暮らしが成り立ち、多分この先も成り立っていくのだと思える。

女房が子をわたしに預け毎週どこかへ飛び立つような娘気質だったら、我が家は遠からず先細るだけの根無し草のような家庭となっていたことだろう。

いまさらながら女房の労苦を思って頭が下がる。

巷に流布する男女役割分担の理想像はもしかしたら絵に描いた餅かもしれず、下手に真に受ければ、未来を枯渇させるような事態を招くといったこともあり得るのかもしれない。

何でも眉唾。
若い夫婦に土日などない、そう腹を括ってチームに貢献するみたいに、互い持ち場で奮闘するのがまずは大事な基本姿勢であるような気がする。

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Bruno Barbey, Calabria, Italy 1962.