KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

運は味方につけることができる

電車での道中、『逆説のスタートアップ思考』(馬場隆明さん著、中公新書ラクレ)を読みはじめ、「不合理」な方が合理的との第一章から引き込まれ、ペラペラ流し読みするつもりが結局熟読することになった。

最も印象に残ったのは第四章。
「運」についてまるまる一章分の紙数が割かれている。

子らの顔を思い浮かべ、来るべき時代の不確実性について思いを馳せた。

あらゆる場面で人の役割が人工知能に置き換えられ、それで立つ瀬あるのかないのか人はますます長寿になっていく。
加えて日本の国力は長期に渡って凋落傾向。
楽観する要素少なく、流れを素直に読みとればリスクだらけの未来と映る。

「運」についてさえ、確固とした心得を持つ必要があるのも頷ける。

人生も半ばを過ぎたわれわれにとっては遅すぎる福音といった趣きであるが、これからという若者にとって本書の助言はどれもこれも貴重な金言と言えるだろう。

本書が言うとおり、運は味方につけることができる。
そのためには、この先、一つのことにだけ着眼しているのでは全く足りない。

主たる8割はスタンダードなものに注力しつつも、従たる2割は追随者のない奇想天外な何かにも目を向ける。
そして、偶然の思し召しに心を開く。

要約すればそのような話となるだろうか。
複数の山に足場を置いて、ここ一番、一気呵成に一つの山を駆け上がる。

最適解に達するためには視野が広くなければならず、それには長い助走が必要で、その過程で培われたタフでハードな一芸も備えてなければならない。

敷衍すれば、社会に足を踏み入れる前段階の受験勉強時代から同様のことが言えるのではないだろうか。
つまり受験という既存のパッケージだけに全身全霊を傾倒するのは長期的にみて「強運」を遠ざけるようなものであり、八分の力で受験に取り組み、余白の二分は他の何かにのめり込むくらいが合理的。

おそらく多分間違いなく、その余白という不合理が、サバイバルするうえで決定的に理に適った武器へと実っていくのだろう。

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Inge Morath, Le Marais Paris 1957.