KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

いい映画は何度でも頭のなかで蘇る

待ちに待った終業の時間。

午後7時には事務所を後にした。

 

和らかの湯で一息つくことにし2号線を選ぶ。

 

が、どうしたことだろう。

2号線に入るはるか手前、野田阪神の交差点あたりからクルマひしめいて全く動かない。

 

即座予定を変更し迂回して43号線をたどることにした。

この日何かあったのだろうか。

2号線よりは幾分ましであったが43号線もひどく混み合っていた。

 

「兵庫県に入りました」

ナビがそう告げたときすでに時計は8時を回っていた。

 

こんなときは静かな音楽に耳傾けるに限る。

映画『戦場のピアニスト』のサントラを流す。

 

主演のエイドリアン・ブロディの面影が浮かんで『戦場のピアニスト』の世界にひたって引き続き、エイドリアン・ブロディ繋がりで、頭のなか、ウェス・アンダーソン監督の映画『ダージリン急行』の各シーンが像を結び始めた。

 

三兄弟がインドを旅するロードムービーである。

 

父親の死後、各自それぞれの道を歩み兄弟は疎遠になっている。

兄の呼びかけで集まりインドを鉄道で旅する。

 

が、三人の関係はギクシャクし通しである。

 

交通事故に遭って顔を包帯でぐるぐる巻きにしている長男。

常にサングラスをかけている次男。

虚実綯い交ぜの小説を書き続け性的に放縦な三男。

 

三者三様に奇異な姿が、彼らの世界観の歪みとてんでばらばら感を物語り、そのチグハグが不思議なテイストを醸しテンポよくユーモラスにストーリーが展開されていく。

 

実は旅には隠された狙いがあった。

父の葬儀に参加せず姿を消した母を訪ねること、それが本当の目的だと旅の途中で兄は弟らに告げる。

 

旅を通じ、バラバラだった3人がまとまっていく。

三者三様の彼らであり、三者三様の考え方振る舞い方であるから噛み合わないが、父を亡くした喪失感は彼らに共通するものであり、行方の分からない母の存在も彼らに共通するものである。

 

ラストシーンは清々しい。

旅を経て父と母への思いにも決着がつき、三人の間に、確たる共通性が基盤となったのだろう、厚い信頼関係が構築された。

 

いい映画は何度でも頭のなかで蘇る。

また観れば再発見もあるだろう。

 

ぜひ、息子たちにも観てもらいたいと思う。

 

世の中、兄弟姉妹だからといって仲がいいとは限らない。

職につき伴侶を持てば、別の世界に身を置くようなものであって、尚更その関係は心もとないものとなる。

 

そんなとき、この映画がもってこいである。

軽い感じのトーンであっても中身濃厚。

 

映画を楽しんでなおかつ互いの共通項についてしみじみと気づくということになるだろう。

 

まもなく熊野の郷。

半時間ほど風呂につかり、父であるわたしは彼らのもとへと帰ることになる。

f:id:KORANIKATARUTOKIDOKI:20171017100818j:plain

Elliott Erwitt, NewYork 1953.