KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

リトルダンサー

結婚してから、ほとんど映画を観なくなった。
映画館にも行かないし、家で観るということもない。

2時間じっと筋を追って、座ってられない。
あれやこれや動いていないと落ち着かない。
手を動かして書類を作る、電話してお客さんと話す、気の向くままどっかに出かけてしまう、寝転がって本を読む。
カラダがそのどれかに移ろってしまう。
結局最後まで観ない。せいぜいチラチラ横目で見る程度。

しかし、そんなわたしでも、最後まで鑑賞するどころか、何度も何度も味わい尽くす映画がある。
リトルダンサー(Billy Elliot)である。イギリス映画だ。

少年が父の意に反しバレエに惹かれる。
バレエなどもっての他と強く反対する父であったが、やがて息子に理解を示し見守る立場に変わっていく。
炭坑の町を背景にした、少年のダンス、音楽、そして男親の心情描写がとてつもなく切なくて素晴らしい。
この父親の心情に寄りそうように、ぐんぐん感情移入していくことになる。

ラストシーン。舞台の袖ですっくと立ち上る我が子。幕が開き、走り出て高く跳躍する。
父は観客席から、その姿をじっと見つめる。
言葉は交わされないが、父と子の間に強く通じる無上のコミュニケーションの場面だ。
すべてが結実し、弦が打ち震える時の時。まさにそういった見せ場である。

そのシーンを思うだけで、いまもわなわな心震えて涙が込み上ってきそうになる。