KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

モテない男の絶対的優位

小6と言えばそろそろ思春期で、まだ子ザル風情残る男子と比べ、女子はこれが小学生かと驚くような早熟さを顕わにし始める。
塾の駐輪場では、女子から男子へ愛の告白が為され、その場面に出くわし、告白の対象となることのない子ザルたちは、キャッキャキャッキャと大はしゃぎする。

結構な規模の塾であれば、子ザルの中にも目を見張るような、勉強ができ、背が高く、ハンサムな男前くんが何人もいるのであり、子ザルの大半が鼻も引っかけられないなか、彼らは、女子の噂の的であり、その争奪戦に晒される。

何がしかの矛盾と不平等を覚えるかもしれないが、モテ度の差は残酷なほどである。
しかし、気を落とす事はない。
間違いなく君たちは長じれば長じるほど、ママが心配するほどモテるようになる。

そこで、ママを心配させないためにも、モテることがどれだけ不便で面倒なことかパパがあらかじめ説明し、つまらないことを羨ましがらないよう君たちに話しておかないとならない。

君たちが察している通り、パパは全くモテない人生である。
バレンタインデーにチョコなどもらったことはないし、クリスマスは決まって男同士で鉄の結束、悲しい団結を誇ったものだ。

きっと、そのような星のもと生まれついたのだろう。
この先もずっとモテるなどということは起こらないと分かっている。
おそらく生まれる前に、決然と神様に申し出て、モテない人生を選びとったのだと思う。
そうでなければここまでモテない理由が分からない。

そりゃ、大学生の頃などあんまり寂しいので少しモテてみようと取り繕ったこともある。全く駄目だったけれど。
モテないのにモテようとすることほど、悲惨な光景はないと君たちにはそっとささやき伝えておこう。
いま、思い出しても、顔が歪むほど凄惨である。

あのイッセイ・ミヤケの45,000円もした夏用の白いジャケット、あれを大学生の分際で買ったのは、それを着ればモテるという醜く浅ましい魂胆があったからではないか。
あんなジャケット、大人になった今も着こなせない。
店員はなぜ、止めないのだろう。
これはあなたが着ても、お似合いになりませんよ。

もっと早くに、自分がモテない人生を自らの意志で選びとったのだと気づけばよかった。
そうすればもっと本質的なことに本腰入れて取り組めたのに。

パパだけでなく、大学の時には多かれ少なかれそのような感冒にかかるようだ。
大学の友人の言葉を時々思い出す。
上京したてで少し浮かれているような時期である。
男は、女にモテるために生まれて来た、それが全てだと、彼は断言していた。
しかし、彼自身もパパ同様にモテない星の仲間だったとすぐに判明しすぐさま路線変更した。

今や名の知れたアルピニストであり、押しも押されぬ金融マンとなった。
そんな言葉を言ったことすら忘れているに違いない。

モテない星の神に帰依した時から、真実の人生が始まるのだ。

だから、どう見てもモテない星出身としか考えられない大の男が40も過ぎて、モテるためにあれやこれやエネルギー使っているのを目にすると、アホかいな、まだ卒業してないんかい、と驚愕してしまう。

食べても太らない体質の人が羨ましがられるように、道を歩いてもモテない男はもっと評価されるべきだろう。
食べれば太るという体質が大変なように、歩けばモテるなんて、これはもう我が道を進みづらいったらありゃしない。
進めないだけでなく、脇が甘くなり、身を滅ぼすことにもなりかねない。
モテることは制御不能なのである。

端からモテない、なんて清々しいことだろう。