KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

ちょっとしたエピソード

以前、Facebookに書いた内容だが、危機管理上、多大な教訓を含む内容であり、忘れ去らぬようここにもきっちり記しておかねばなるまい。

世間がお盆休みに入る土曜日の朝早い時間のことだった。
家で一人留守番している長男から事務所に電話がかかってきた。

パパ、セコムがテストって言うてるで。

そんなバカなことはないだろう。
お盆の土曜、それも朝っぱらにセコムがやってきてテストするなど考え難い。

前もって連絡してから来て下さいってセコムに言え、と長男に伝えた。
長男が、「連絡してから来て下さい」と言うのが電話越しに聞こえる。

一旦それで電話を切ったのだが、不安がよぎる。
どう考えても不審な匂いが拭えない。
空き巣や強盗の類の話ではないか。
であれば、連絡してから来て下さいと引き下がるはずはなく、子が留守番となれば、渡りに船ではないか。
慌てて、長男に電話する。
電話に出ろ、無事でいてくれ、願うような気持ちだ。

長男が電話に出る。
何事もない様子だ。
おい、セコム帰ったか?と聞く。
誰が?と長男。

少し苛立つ。
さっきセコムの人に連絡してから来て下さいって、言うたやろ。
そいつら帰ったんか。

え、誰も来てないで。
セコムの機械がテストですって鳴っただけやで。

長男はその機械に向かって、「連絡してから来て下さい」と馬鹿正直に伝えていたのだ。
おい、機械に言うてもしゃあないやろ?

パパがそう言えって言うからやんか。

セコムという表現が機械を指すのか人を指すのか確かめることを怠ったことによるひと夏の過ちであった。

少し笑いを誘うエピソードほど大切なものはない。
とても朗らかな気持ちになることができる。
いつか腹が立つことがあってもそれを思い出せばすぐに許せるだろう。

長男が字もろくに書けない幼稚園の頃を思い出す。

散髪している間、スーパーのゲームコーナーで一人遊ばせていた。
レジで何か懸賞が貰えるアタリが出たらしい。
でかいスーパーで担当のレジがどこかも定かではない。
幼少の私ならどうしていいか分からず、面倒くさいのも手伝って捨て置いたに違いない。

ところが長男は、違った。
あちこち探して、人に聞き、執念深く窓口となるレジを見つけ出した。
懸賞と引き換える際、住所や名前を記入カードに書かなければならず、ろくすっぽ書けない幼い筆致にも関わらず、懸賞欲しさに書き切った。

散髪終えた私はカウンターにいる長男の背中を見つけ、何をしているのだと訝しみ、そして、そのような経緯を聞くのであった。

目当ての場所にたどり着き、さも手慣れたような雰囲気で、ささっとサインする幼稚園児の長男。
対外的なパブリック文書にはじめて自らの意思で自署署名する記念すべきシーンは感動的であった。