KORANIKATARUTOKIDOKI

子らに語る時々日記

デブがモテようとするとお金がかかる(その3)

一方、兄貴はさすがである。
ものがちがう。
これぞまさしく全天候型の超人ドリンカーではないか。
正面にカラオケのモニターがある。
右側のおっちゃんが村田英雄を唄う。
負けじと兄貴も永ちゃん、桑名と立て続けに熱唱。
何もかもはねのけ後光さすほど凄まじい、どこでだって元気に生き延びていくに違いない。
兄貴、ボクはもう駄目ですボクのことはもう忘れて下さい。

ミナミの英ちゃん富久鮓はじめ、いい店に最初に連れていってくれたのは兄貴であった。
敷居の高い店であろうが敷居のないこのような店であろうが、顔色ひとつ変えずそれどころかさも楽しそうに違和感なく自らの居場所へと変貌させる力は魔力である。
ひれ伏すしかない。
私にはとても無理だ。
適性自体がない。

左側のおっちゃんがトイレに立つ。
用心しなければならない。
トイレは絶対に使いたくない。
お酒弱いんですといいながら、水分取らぬよう計算高いギャルのように口を湿らせる程度飲むだけに留める。

トイレから戻ったおっちゃんが、コの字の左ではなく、右に座った。
自分の席も解らないくらいの意識状態のようだ。
歯抜けの店員に、そこ違うでと指摘され不機嫌そうに場所を移る。
おっちゃんが後ろを通るとき背中が総毛立つようだった。
しばらくのちOKやねと一人で言いながらおっちゃんが席を立とうとする。
勘定の千円まだやでと歯抜け君が催促する。
せ・ん・え・ん。
よろけながらポケットからくしゃくしゃの千円を出しそれはカウンターに置かれた。

じゃあ新世界の2軒目行こう、と師匠が高らかに宣う。
勘定が3人で9000円。
私はビールで口を湿らせただけ、兄貴が2曲、師匠が1曲唄い、ビール2本、コップ酒1杯だけである。
これで9000円だなんて天文学的なぼったくりではないか。
兄貴がすばやく払う。

山王の信号前で次の店についての講釈を聞きながら、あっと用事を思い出し、5分だけ付き合えという声を振り切り天王寺方面へ一人ですたすた歩き始めた。
阪神高速松原線の高架下をくぐると街並みが少し落ち着き逃亡兵の早足も幾分スローダウンしてくる。

今夜は必ず飲み直しが必要だ。
まっすぐ阿倍野キューズモールの正宗屋に向かう。
あの不吉な余韻を今日中に消し去りたい。

例の如く超満員の正宗屋であるが一席空いていた。
洗い場に近く消毒薬の匂いが鼻につくが、カビよりましだ。

紅生姜添えて食べるさばの塩焼き、肉厚とろとろの牛すじ、はまちの刺身、イイダコ、土手焼、何もかもうまい。
オールスターメンバーのメニューが勢ぞろいする大阪B級の雄。
大阪で食事するならここは外せないだろう。
ここ一箇所で総花的に大阪の味をざっとレビューできる。
レベルも高い。
ただしデートには向かないかもしれない。

正宗屋で心が癒える。

年末は大城園でおいしい肉を分け合った。
カキフェという美味なるものとの新たな出合いもあった。
帰途、ユーミンベストを車内で流しながら御堂筋に立ち寄った。
淀屋橋から心斎橋までのLEDイルミネーション。
辻から辻へと区間ごとで色合いが変わる。
年々美しさを増している。

事務所で着替えて帰途につく。

日本人は膝が曲がったまま足を出すから肩が落ちて歩き方が格好悪い。
そんな話を旅先で聞いて、歩き方を教えてもらったことがあった。
膝を伸ばし踵から足を前に出す、そのような心掛けでずいぶんとしゃんとするものだ。

新年二日までは酒席が続く。
大晦日は親父と酒飲もう。
その後、お家に戻って年越しだ。
今年は、新潟小嶋屋の蕎麦を贈り物で頂戴している。
蕎麦をすすって来年の運気を呼び込もう。
それで年越し。
おお、大晦日は、明日ではないか。

そして新年は何を食べようか。
年末に続き大城園が有力候補。
おそらく子らは焼肉を熱望し、大城園で決まりだろう。

追記
朝から調子がおもわしくなく疲れだろうと思っていたところ熱が出始めた。
さあ、ゆっくり休もうと思うが、寝正月という訳にいかないのが長男のつらいところでもある。